同時に、カウンセリングをするなかで、目の前の人の問題は社会の問題を反映していると思っていました。
うつ病でカウンセリング受けて、社会に戻り、またいままでと同じ環境、同じ生き方に流されてしまい体調を崩す。中央集権の従来型社会と、そこで生きている人の価値観に溝があるなと感じていました。
求めている価値観と社会が合致していない。こうして生きづらさを感じて苦しんでいる人に、カウンセリングで対症療法的に関わり続けるしかないのかと無力感を感じました。
それで、サスティナブル、持続可能な社会があるのか、あるとしたらどんなものかを見に行きたくなりました。

私が最初に向かったのは、持続可能な生活をつくるコミュニティ、パーマカルチャーの発祥地として有名なオーストラリアのクリスタルウォーターズ。感想としては、面白いしワクワクするけれど、科学的なヒッピー村のように映る面もありました。これだと、今の社会から離れすぎていると感じました。
日本に帰ってきて、社会学者の先生にその話をしたら、エコビレッジの研究に参加しませんかと声をかけてくださいました。
トランジションタウンという心や生活の変革を意識した取り組みをする社会実験が、全国48箇所くらいでされていて。
そこでは、現地通貨を取り入れたり、太陽光や自分たちで作ったモーターを使ったり、食べられる物を育てたり、と自然エネルギーを活かし、心身の健康をサポートしつつ、エコロジカルで分かち合いを大切にした生活を、現代の生活のなかで実践していました。
また、心のトランジションとして、考え方や行動においても、村民が自立し、共生するというスタイルを育むコミュニケーションが重要視されていました。

それを見て、希望がわっと湧いてきた。ちゃんと日本には、動いている人がいる。なかなか面白いぞと。
同じように考えている人たちがいるなら、変化するかもしれないと希望が湧いたんです。