淡路島の関わりとトランジションの調査研究が混ざって、地域づくりへの関心が高まりました。
3.11のあと、私も大地が汚染されてしまったことに、強い悲しみと何もできないことへの無力感を感じました。大自然とのつながりは私にとって欠かせないものである一方で、現代社会の利益も享受しながら生活している。
地域づくりの調査で、資源を循環させる視点を持ち、失敗を繰り返しながらも根気強く挑戦を続ける人たちと出会うことで、自分自身も救われていたのかもしれません。
そのうち、トランジションタウンの共同研究者が、再生可能エネルギーによる地域づくりの研究プロジェクトに声をかけてくれました。
電力は知らずの内に中央集権に依存する構造を作っていて、地域から当たり前に経済が流れ出る仕組みになっている。
依存の構造は、自分の意見をいえない、自律して考え、意見や行動を表明することができない人々を作ってしまう。
自分たちで電力をはじめとするエネルギーや経済が循環する地域を作ろうという取り組みで、去年は5箇所に同行し、10回以上、地方に調査のために出張しました。
レンタカーで秘境的な場にも訪れるのですが、そのときに、チームサイエンスの話を同行した社会学者にしました。
臨床心理は、病気の人を引き上げるだけではなく、アメリカではチームサイエンスとして、社会学者と手を組んで、環境問題へ配慮した行動をするためのプログラムを練ったりするんですよと。
つまり、臨床心理士は、環境問題や社会変革に深く関わっているという状況が世界では起きているんです。
先生は、環境問題も心の問題も根っこの問題は同じものがあると、そういう心の転換を扱うプログラムを研究しようということになり、去年から環境とウェルビーイングをテーマに研究会がスタートしました。
今は共感する先生や仲間が増えてきて、私も環境と福祉という視点などで、学会などで話をさせてもらっています。
私は統合医療というところにずっといて、患者の自律をサポートしてきました。
医師におまかせ医療ではなく、患者が主役、医師をはじめとする医療チームはサポーターというスタンスです。
医師もいれば看護師やアロマセラピストなどケアを担当する人もいる。主役である患者は自分で責任を負う。
大変なことを背負わなくてはならないから、まわりのチームは情報を差し出し、サポートする。そのためには依存した心ではなく、自分で判断する能力や感覚を高めていく必要がある。
それは、地球環境は危ないと感じ、自らが考えて行動に移す力を高めていくのと同じだと感じています。